避けては通れない遺産分割協議

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相続が発生すると遺された財産をどのように分けるか決める必要があります。そのための話し合いを遺産分割協議といいますが、この遺産分割協議はその後の相続に関わる手続きにおいて重要な役割を果たします。相続人同士の争いの火種ともなりうる遺産分割協議ですが、これを後回しにしていてはのちのち大変なことになってしまいます。今回は避けたいけど避けては通れない遺産分割協議についてまとめてみます。

遺言書がない場合は遺産分割協議書が必要

遺言書がなかったり、または遺言書があってもすべての遺産について相続人が指定されていなかったりした場合、相続人同士の話し合いが必要となります。この話し合いを遺産分割協議といいますが、遺産分割協議における相続人同士の話し合いがまとまると遺産分割協議書を作成するのが一般的です。遺産分割協議書を作成することで遺産分割協議の結果を明文化し、各相続人が相続する遺産を対外的にも確定させることができます。たとえば遺産である不動産や自動車、株式などの名義を被相続人から変更する際や被相続人の銀行口座にある預貯金の払い戻しを受ける際に自分が正しい相続人であることを証明する必要があります。その証明のために遺産分割協議書が必要となります。もちろん相続人がひとりであれば遺産分割協議書は必要ありませんが、そうでない場合は相続に関わる手続きを円滑に進めるためにも遺産分割協議書が必須といえます。

遺産分割協議における注意点

相続の手続きに必須ともいえる遺産分割協議書を作成するためには相続人同士の話し合いである遺産分割協議が必要となります。遺産分割協議を行なうにあたっては下記のような注意点があります。

相続人と相続財産の確定

遺産分割協議が完了したとしても相続人や相続財産の漏れが判明した場合、遺産分割協議をやり直すことになります。このような事態を避けるためにも遺産分割協議をはじめる前に相続人と相続財産を確定させることが必要です。相続人を確定させるには被相続人の戸籍調査が必要となります。これは被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本を辿りながら相続人を洗い出していく地道な作業となります。また相続財産を確定させるためには預貯金や不動産などわかりやすい財産の他にゴルフ会員権や著作権など無形の財産、借金や未払いの税金などマイナスの財産も含めてすべての財産を網羅した財産目録を作成するとよいでしょう。

相続税の申告

相続税は相続発生から10ヶ月以内に申告する必要がありますが、それまでに遺産分割協議がまとまらない場合は注意が必要です。この場合、まずは相続人全員が暫定的に法定相続分に則った相続税を申告しますが、遺産分割協議が完了していない場合、相続税を大幅に軽減できる配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用できないため多額の申告が必要となる場合があります。遺産分割協議の完了後に相続税の修正申告をすることができますが、相続税の申告期限から3年を超えると配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が無効となってしまいますので気を付けましょう。

遺産分割協議がまとまらない場合は?

どうしても遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所へ遺産分割調停の申し立てをすることができます。遺産分割調停では裁判官や調停委員が客観的な立場で各相続人の主張を聞きながら遺産分割がまとまるよう調整を図ります。裁判官や調停委員が介入することで遺産分割調停の話し合いがまとまれば調停調書が作成されて遺産分割は完了です。一方、遺産分割調停でも話し合いがまとまらない場合、遺産分割審判が行われることになります。遺産分割審判は話し合いではなく、各相続人の主張と立証を展開しながら争うことになります。最終的には家庭裁判所の裁判官が遺産分割の方法を決定してしまうため相続人の誰もが満足しないような結果となる場合もあり得ます。遺産分割審判は可能な限り避けた方が良いでしょう。
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