国民健康保険と健康保険の違いを理解しよう

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世界保健機関(WHO)の世界健康統計2017によると世界の平均寿命71.4歳に対して日本の平均寿命は83.7歳で世界一だと報告されています。2位以下にスイス、シンガポール、オーストラリア、スペインと続きますが日本は20年以上、平均寿命世界一を維持しています。また、この平均寿命世界一を支えている日本の医療サービスも世界トップレベルだとWHOから評価されています。医療水準の高さ、医療サービスの受けやすさ、医療費負担の公平性といった点が高評価なようですが、これら優れた医療サービスを実現するためには日本の医療保険制度も欠かせません。今回は日本の医療保険制度である国民健康保険と健康保険についてまとめてみたいと思います。

国民健康保険と健康保険の共通点

日本は国民皆保険制度が確立されており、ほぼすべての国民が日本における医療保険制度の保険証を持っています。病気やケガによって医療機関を受診した際には、この保険証を提示することで医療費の3割またはそれ以下の自己負担で治療を受けることができます。さらに医療費における1ヶ月あたりの自己負担は上限額が決められており、この上限額を超えた医療費の自己負担は還付を受けることができます。これを高額療養費制度といいますが、たとえば70歳未満で標準報酬月額28万~50万円の方である場合、医療費における1ヶ月あたりの自己負担上限額は下記の計算式で求めることができます。
自己負担上限額=80,100円+(医療費-267,000円)×1%
たとえば医療費が100万円の場合、自己負担上限額は下記のとおり87,430円となります。
87,430円=80,100円+(1,000,000円-26,7000円)×1%
窓口負担は100万円の3割にあたる30万円であるため高額療養費制度によって還付を受けられる金額は下記のとおり212,570円となります。
212,570円=300,000円-87,430円
なお、高額療養費の還付は申請から支給まで3ヶ月程度かかりますが、事前に限度額適用認定証の交付を受けていれば、窓口での支払いを自己負担上限額までに抑えることができます。自己負担上限額は年齢や収入によって変わることがありますのでご注意ください。

国民健康保険と健康保険における保険料の違い

社会保険を完備した会社にお勤めの方とその扶養家族の方は健康保険に加入していることが普通です。会社にお勤めではない自営業の方の多くは国民健康保険に加入しています。この国民健康保険と健康保険では保険料の計算方法に違いがあります。
たとえば、東京都練馬区在住で世帯主(40歳)の税込年収が480万円、専業主婦の奥様(40歳)と小学生のお子様1人といった家族構成をモデルケースとした場合、国民健康保険の保険料は年間で454,764円となります。なお、東京都練馬区の国民健康保険料は全国平均よりも安いため、他の地域ではもう少し高くなる可能性があります。
一方、全国健康保険協会(協会けんぽ)における平成29年度保険料額表によると上記モデルケース(標準報酬月額50万円)における健康保険料は年間で693,600円となります。ただし、この保険料のうち半分は会社が負担してくれるため自己負担は半分の346,800円となります。国民健康保険とくらべて年間で10万円以上安くなる計算です。

国民健康保険よりも健康保険の方が有利

保険料を全額自己負担する国民健康保険とくらべて保険料の半分を会社が負担してくれる健康保険の方が概ね安くなることをお分かりいただけたと思います。さらに扶養家族が増えるほど国民健康保険と健康保険の保険料の差は大きくなります。なぜならば、扶養家族が増えても健康保険の保険料は変わらないためです。国民健康保険は扶養家族が増えるほど保険料が高くなります。
また、病気やケガで仕事を4日以上休んだ場合、お給料の約3分の2が支給される傷病手当金という制度や産前42日間、産後56日間の産休中においてお給料の約3分の2が支給される出産手当金といった制度は健康保険にしかありません。健康保険であれば産休および育休中の保険料が免除されますが、国民健康保険は免除されません。
このように国民健康保険とくらべて健康保険の方が保障が手厚く有利になっています。
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