入っていて当り前!?火災保険の基本

スポンサーリンク

戸建ての住宅や分譲マンションに住んでいる方も賃貸マンションやアパートに住んでいる方もほとんどの方が火災保険に加入していることと思います。ですが、その補償内容をしっかりと把握している方は意外と少ないのではないでしょうか。住宅ローンを借りる際や賃貸マンションを借りる際に業者から勧められた火災保険になんとなく加入・・・そんなケースが多いのではないでしょうか。そこで今回は、そのなんとなく加入してしまう火災保険についてまとめてみたいと思います。

泣き寝入りにならないためにも

民法709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とあります。つまり他人に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならないということですが、火災に関してはこの民法709条が必ずしも当てはまりません。日本では昔から木造家屋が密集していることが多いため火災が発生すると類焼しやすい環境にあります。そのため火災を引き起こした本人に故意や重大な過失がないかぎり類焼しても民法709条を適用しないことになっています。これを失火責任法といい明治32年に制定されて以来、現在まで続いています。たとえば隣の家で火災が発生して買ったばかりの我が家に燃え移ったとしても火災を引き起こした本人に故意や重大な過失がないかぎり損害賠償を請求することができません。我が家が全焼して住む家もないのに35年分の住宅ローンだけが残っている状況を想像してみてください。それでも損害賠償を請求できずに泣き寝入り。そんなことにならないためにも火災保険にはしっかりと加入しておきたいものです。

時価契約と新価契約

火災保険には時価契約と新価契約(再調達価額契約)があります。時価契約とは建物を購入した時の価額から経過年数に応じた劣化など価値の減少分を反映した価額が補償の上限となる契約です。言い換えると購入から30年経過した建物は時価契約だとほとんど補償されないといったことが起こり得ます。一方、新価契約は購入した建物と同じものを建て直す場合、現在ならいくら必要かといった考え方に基づく契約です。購入から30年経過した建物であっても新価契約であれば同じものを建て直すだけの補償を受けることができます。現在は新価契約が主流ですが、長い間見直しをしていない古い火災保険は時価契約である可能性があります。もしもの時に生活を再建できないようでは火災保険に加入している意味がありませんので、これを機会に加入されている火災保険を確認してみてはいかがでしょうか。

全部保険と一部保険

特に新価契約で気を付けたいのが保険価額と保険金額です。保険価額とは火災保険の補償対象である建物や家財の金銭的な価値を指します。保険金額とは万が一にでも火災などが発生して建物や家財に損害が発生した場合に火災保険によって補償される上限額を指します。この保険価額と保険金額を同額とした火災保険契約を全部保険といいます。この全部保険であれば保険価額2,000万円の建物が全焼してしまった場合に2,000万円の補償が受けられますし、半焼して1,000万円の損害がでれば1,000万円の補償を受けることができます。では保険価額2,000万円の建物に対して保険金額1,200万円の火災保険ではどうでしょうか。これを一部保険といいますが、この一部保険では保険価額2,000万円に対して保険金額は60%にあたる1,200万円しかありません。ですので補償も60%に抑えられてしまいます。たとえば保険価額2,000万円の建物が全焼してしまった場合は1,200万円しか補償されませんし、半焼して1,000万円の損害がでた場合は600万円しか補償されません。なお保険価額2,000万円の建物に対して保険金額3,000万円といった火災保険契約を超過保険といいますが、この超過保険でも補償される上限は保険価額の2,000万円までとなります。にもかかわらず保険料は余計に支払うことになりますので注意が必要です。基本的には保険価額と保険金額を同額とする全部保険にするのがよいでしょう。

基本的な補償内容

火災保険における補償の中心は建物と家財です。戸建ての住宅や分譲マンションなど建物を購入している場合は建物と家財、賃貸マンションやアパートの場合は家財を補償対象とする火災保険に加入するのが一般的です。なお火災保険は火災だけでなく、さまざまな災害や事故による損害を補償します。

火災・落雷・破裂・爆発

火災保険における最も基本的な補償です。放火や失火、もらい火といった火災を補償するのはもちろんのこと落雷による電化製品の故障やガス爆発による建物や家財への被害も補償の対象となります。

風災・雹災・雪災

台風や竜巻などの暴風によって建物や家財が破損したり、雹が降ってきて窓ガラスが割れたり、雪の重みで屋根が崩れたりといった被害が発生した場合に補償されます。

水災

大雨による洪水で家が床上浸水となり家財が被害を受けた場合や大雨が原因による土砂崩れによって建物が倒壊した場合などに補償されます。

水濡れ

水道やトイレなどの給排水設備が故障して水があふれたことによる建物や家財への損害を補償します。上の階からの水漏れによって損害を受けた場合も補償されますが、風呂の水を出しっ放しにしていたなど自分自身に過失がある場合は補償されません。

落下・飛来・衝突

落石によって屋根が破損してしまったり、鳥が飛び込んできて窓ガラスが割れてしまったりした場合に補償されます。車に当て逃げされて建物の外壁が壊れてしまった場合なども補償の対象となります。

騒じょう・労働争議

自宅に面した通りでデモと機動隊が衝突して数世帯の規模で建物が被害を受けた場合などに補償の対象となります。ただし暴動や内乱、戦争といった規模に発展した場合は免責として補償されないことがあります。

破損・汚損

補償の対象となっている建物内において不測かつ突発的な事故によって発生した損害を補償します。たとえば家具を運んでいたら壁に衝突して穴をあけてしまった場合やテレビを移動中に誤って落としてしまいテレビが故障してしまった場合などが補償の対象となります。

盗難

盗難の被害によって建物や家財が損害を受けた場合に補償されます。侵入のために割られた窓ガラスや壊されたドア、貴金属等のアクセサリーや衣類、電化製品などが盗まれた場合などに補償されます。現金も一定の金額までであれば補償されることがあります。ただし30万円を超える貴金属や美術品などは明記物件として事前に申告しておかないと補償されません。

その他の費用

火災や水災などの被害を受けた場合、経済的な損害は建物や家財だけではありません。建物が全焼してしまった場合は焼け残りや焼けくずの撤去が必要ですし、建物を建て直すまでの仮住まいとして借りたホテルの宿泊費や賃貸アパートの家賃などの費用がかかります。火災や水災などの被害にともなって発生するこれらの費用も一定の金額までは補償の対象となります。

火災保険では補償されないものに注意

火災保険は火災だけでなく、さまざまな災害や事故によって発生した損害を補償してくれることがおわかりいただけたと思います。ただ大切なことが抜けているのですが、実は地震によって発生した被害は火災保険では補償対象となりません。地震を原因として発生した火災や土砂崩れ、津波などの被害は地震保険に加入していないと補償されませんのでご注意ください。また賃貸マンションやアパートに住んでいる場合、火災保険に建物の補償は必要ありませんが借家人賠償責任特約を付帯することが必要となりますので忘れないようにしましょう。なお建物が自然に劣化したことによって発生した雨漏りなどは火災保険の補償対象とはなりませんので気を付けましょう。
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする