新聞やニュース番組だけではわからない国家予算の話

スポンサーリンク

日本では毎年12月頃に翌年度の予算案が閣議決定されます。年が明けて予算案が衆院本会議を通過、参院本会議で可決・成立するのは3月終わり頃となります。この時期は新聞やテレビのニュース番組などで予算と並んで一般会計というキーワードを耳にすることが多いのではないでしょうか。また、あまり馴染みがないかも知れませんが特別会計というキーワードを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。今回はこの一般会計と特別会計についてまとめてみたいと思います。

普段目にしている予算は一般会計の歳出総額

2017年度の予算は2017年3月27日に参院本会議で可決・成立となりました。一般会計の歳出総額は97.5兆円と5年連続で過去最高を更新しており、高齢化による社会保障費の増加が問題となっています。
歳出の内訳をみると社会保障や公共事業、文教及び科学振興、防衛など国の基本的な事業に必要な一般歳出58.4兆円、地方自治体にまわす地方交付税交付金等15.6兆円、国債の元利払いにあたる国債費23.5兆円となります。
一方、歳入の内訳をみてみると税収57.7兆円、日本銀行や日本中央競馬会(JRA)の国庫納付金、国有地の売却収入などにあたる税外収入5.4兆円、国債の発行により調達した公債金34.4兆円となります。
新聞やテレビのニュース番組などで普段目にしている日本の予算とは、このとおり一般会計の歳出総額を指しています。

特別会計の歳出総額は一般会計の2倍以上

特別会計は新聞やテレビのニュース番組などで取り上げられることが少ないため、あまり馴染みがないかも知れません。にもかかわらず、特別会計は日本の国家予算において大きな部分を占めています。
2017年度における特別会計の歳出総額は393.4兆円。この中には一般会計との重複分90.5兆円や国債の借換え分106.1兆円が含まれているため特別会計の純計額としては196.8兆円となります。
歳出の内訳をみると、国債の償還や利子の支払いに必要な国債償還費等90.5兆円、年金や健康保険などの社会保障に関わる社会保障給付費67.1兆円、地方財政対策のための地方交付税交付金等19.4兆円、財投貸付の原資となる財政融資資金への繰入れ12.0兆円、東日本大震災の復興にあてる復興経費2.3兆円、その他5.6兆円となっています。

特別会計の問題点

国の財政における健全性を確保する見地から単一の会計(一般会計)で経理することが望ましいとされています。しかしながら、国の行政が複雑化することによって個別の事業における資金の運営実績等が不明確となる場合、一般会計とは別に特別会計を設けて特定の歳入と歳出を区分して経理することが必要だと考えられています。
2017年度予算における概算要求書によると年金特別会計(内閣府及び厚生労働省)や労働保険特別会計(厚生労働省)など13の特別会計があり、厚生年金保険料や健康保険料、労災保険料や雇用保険料など特定の事業向けに徴収された資金を歳入として特別会計は運営されています。
特別会計は、かつて「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特別会計)で子どもがすき焼きを食っている」と揶揄されたり、埋蔵金といわれて問題視されたりしたこともありました。所管府省の自由裁量で予算が編成されている特別会計を問題視する声は今でも根強く残っています。
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする